山梨血統ホンキの選別。
自分が小学生の頃から見ていた山梨血統のオオクワが、もしかしたら途絶えるかもしれないという噂を聞いた。
それは、地元では有名だったブリーダーさんがご高齢になって継続が困難になったからだとのこと。
この血統は世間がオオクワブームになる前、およそ20年以上前に山梨県明野で採取されたオオクワガタの末裔で、正真正銘聖地山梨のオオクワである。
サイズ感もかなり時代遅れで、なかなか80mmを超えない血統。だが、それがいい。まさにクラシック。いにしえの形。
こんな愛らしい血統を「なんとか私が累代しなければならない」という使命感(余計なお世話)により累代を引き継ぐことにした。
ブリードの目標はかつての大台80mm超え。
そこで、ブリーダーにより手放された虫たちから親種を選別させていただいた。
虫の品評会。
胸が騒ぐ時間である。
およそ4時間も虫を眺めていた。
♂親決定。この年の最大は77mmで、2頭羽化した。そのうち1頭を分けていただいた。写真では肉眼で見た通りに写せないが、顎は短め、中歯より。腹は細く尖っている。肌ツヤがいい。腹部もしっかり収まっている。という理由から種親にいいのではないかと感じた。
悪点をいうと、かすかに歯が左右揃っていない。しかし言われなければ気がつかない程度。
この♂は他のものに比べてダントツでカリスマ性を感じたので選出は簡単だった。問題は♀である。
♀のサイズは拮抗していて、たしか48~50mmが50頭以上いた。こんなに多くの♀を見比べるのは初めてだ。目が回る。
結局1頭に絞りきれず、特徴的な3頭を先ほどの♂に掛け合わせることにした。サイズはいずれも50mm。
以下、メスの紹介をする。こちらも肉眼の通りに写せないことが歯がゆい。
①腹部が長いタイプ
腹部の形状で体長を稼げるのではないかという期待。
また腹部が細いと♂はより逆三角形に見えてかっこいい。
顎も細長い。
②胸部が太いタイプ
外産ヒラタのメスのような逆三角形。
顎も太い。
幅のある力強い子が取れることを願う。
③腹部が薄いタイプ
幼虫時の体重が同じでも、体高が薄い方がより長さが稼げるのではないかと期待。
この個体は腹部が薄く、背中側に従来の丸みが無い分、そこが光の加減でくぼんでいるように見える。この特徴がかのマツノ久留米に似ているように見えた。
これら♀の特徴は、子孫にどのような影響をもたらすのか、いい対照実験となるはずである。結果がとても楽しみであり、有意義なブリードとなりそう。
オオクワブリードってこんなに楽しいんだね。